色彩の無い世界にひとつ色

詩や雑記で更新し、ひとり行進しながら後進しています。ムーンウォークばりに。

nocturne

森の中を歩いていた
苔が踏むたびに心地よく
木々の間から見える月は
ひどく美しく輝いていた

闇の中にも光は見える
池の水面に映る夜空の星
月光に反射する夜露の雫

静寂ではあるが無音ではなく
何かが聴こえる
蟲の声
水の流れる音
木々の揺れる音
風の通り過ぎる音

不快ではないこの場所で
いっそ何もかも捨ててしまいたくなる
穢れたものの多いこの世界で
本当に美しいものを探すことは容易ではない
だがそれでいいのかもしれない
簡単に手に入るものなど何の価値もないのだから