色彩の無い世界にひとつ色

詩や雑記で更新し、ひとり行進しながら後進しています。ムーンウォークばりに。

詩(Sounds)

rhapsody

風の吹く草原を歩いていた 広大な空間にただ一人 温かいとも冷たいとも言えない ここにある空気 澄み切った風景に 湿り気を帯びた気体の流れ 乾いた何かに 潤いを与える存在 風の音はひどく静かで それでいて煩くも感じる 草と草の擦れる音 飛来した物体の舞…

rondo

雪の中を歩いていた 足跡は一人分 白銀の世界の中で 目が眩む錯覚 小さいけれど 雪だるまを作った 足は無いけれど これでもう一人じゃない 降り続く白い空間では 自分以外の音を聴き取るのが困難で たった一人取り残された感覚に陥る 雪の積もる音も 確かに…

blues

山の中を歩いていた 空と陸の境界線 立っている場所 それは紛れも無い大地 地上で最も空に近くて それでいて空にはなれない 山頂からは世界が見える 夕陽と一番星の輝く世界が 下界の喧騒から最も遠い場所 それはここだと感じられる 空気の揺れる音 小石の転…

nocturne

森の中を歩いていた 苔が踏むたびに心地よく 木々の間から見える月は ひどく美しく輝いていた 闇の中にも光は見える 池の水面に映る夜空の星 月光に反射する夜露の雫 静寂ではあるが無音ではなく 何かが聴こえる 蟲の声 水の流れる音 木々の揺れる音 風の通…