色彩の無い世界にひとつ色

詩や雑記で更新し、ひとり行進しながら後進しています。ムーンウォークばりに。

詩(The others)

by side

満たされている と感じる 不安と不安定な日々を 川のように流れながら 矛盾しているようないないような それはまるで 人一人分の面積しかない高山の上に立っているような こんな日々がずっと続く訳がないとわかっている ただ 疲れているだけ こんな日々がず…

ラムネ

夏の星空を眺めていると 炭酸飲料の底にいるような気持ちになる 泡は夢とか希望みたいなもので 掴もうとすると するすると舞い上がり やがて星になってしまうのだろう そして星になった泡は わたしの体内で消化されず するすると口から溢れくるのだ 炭酸の泡…

気象観測

君の顔を見ると、とても嬉しい それはまるで、よくある晴れの日の、どこにでもある、 それでいて他にはない、二度と同じものは見れない雲のような、 そんな 感情 君と一緒にいると、とても安心する それはまるで、よくある晴れの夜の、どこにでもある、 それ…

エキストラ

君が主役の映画の中で 僕はどんな役割を演じているのだろう 助演男優賞を狙っていたけれど 僕はただのエキストラなんだって 今日気付いてしまったんだ 僕からははっきりと君の姿は見えるけれど 君からはぼんやりとしか僕の姿は見えていない そんな映画の中で…

稜線上の

稜線が好き 空を感じられるから 山と空の境界が好き 手を伸ばせば届くような気がするから その向こうに何があるんだろう そこから見える景色は 実際はそこには何もなくて 手を伸ばしてみても空に手は届かなくて 見える景色だってミニチュアの街だけ 水平線も…

君が の を に (例:君が好きな想いの痛みを僕に)

君が好きだった 君の好きな本も 君の好きなゲームも 君の好きなスポーツも 好きになろうとした 君が好きだった 君の嫌いな映画鑑賞も 君の嫌いなアルコールも 君の嫌いな料理も 嫌いになろうとした 君が好きだった 君の好きな容姿も 君の好きな性格も 君の好…

冷えたミルクティー

よく冷えたレモンティーが好き そんな彼女が好きだった 夕立ちのあがった駐車場で 僕は二つの空を眺めていた 温かいミルクティーが好き そんな彼女が好きだった 固い空気以外何もない公園で ただ過ぎる時間を眺めていた ミルクティーといえばホットでしょ 僕…

感覚的間隔

側にいて 安心できる範囲内で 側にいて いつからか 身体が冷える季節になっていた 鈍くなって 感覚が薄くなって あなたとの距離を感じて あなたとの距離を測って 隙間を埋めるものを探して 隙間を埋めるものを捜して その密度は その間隙率は 観測を続ける僕…

ナイトゲーム

疲れて帰るとテレビでは ナイター中継が流れていた 冷えた眠りの中で僕は 君とキャッチボールを繰り返している 慌てて帰ると運動場では 社会人野球の灯りが輝いていた ヨーグルトの上澄みのような夢の中で 僕はキャッチボールを繰り返している 例え投げたボ…

時計と毛糸

澄み切った夜空と ひどく遠くに見える月と どこかなまぬるい照明と 喧噪と怠惰と倒錯した愛情と 誕生日に君にもらった腕時計 十一時の針が胸を刺すようで 一体何をしているんだろう 何をしているんだろう君は今 小さなことからわだかまりは溜まり 小さな争い…

睦月

花は散り鳥は天高く風は鳴き月は輝く四季の卵白のような場所で僕は君を探しているぼんやりとしているのは視界か思考か今もそれは見つからないまま凍りついた地面が融けるとき軟らかくなるみたいに今日のことも全部とけてしまえばなあ懐旧の花のように儚くて…

クリア

合成甘味料みたいな 何も書かれていない今月のカレンダーみたいな 初めてゲームをプレイしたときみたいな 子供みたいな あの日の声みたいな コンビニで買った傘みたいな ゼリーみたいな あの夏のサイダーみたいな 化粧水みたいな 喫茶店で出た水の入ったグラ…

ROM

おはようこんにちはこんばんは 君の見ている風景は 言葉 返すことができなかった想い 伝わらなかった気持ちは 見えなくて 触れなくて 叫べなくて 伝えられなくて 恥ずかしくて 怖くて 逃げて 悔しくて 悲しくて 君だけで 遠くへ行ってしまって 抑揚 表情 声…

kate

とても温かくて とても柔らかくて だから爪で引っ掻いてしまった かたちのない なにか とても優しくて とても癒されて だから僕の爪で掻き毟ってしまった 長方形の なにか そのたびに君は何度も 何度も何度も とても温かい とても柔らかい とても優しい とて…

説明はいらない

不意に晴れた空に 説明はいらない ここから見る景色に 説明はいらない 突然の雨に 説明はいらない そこから見える景色に 説明はいらない 思い出したくもないのに どうして思い出してしまうのだろう 悲しくなんてないのに 涙が流れるのはなぜだろう 緩やかな…

atmosphere

水彩絵の具のあおとしろを混ぜて 水に溶いたらどんな色になるんだろう カレンダーの右の端 そんな色で数字を書いてみたけれど きっと透明なんかじゃなくて 冬の寒空に 窓ガラスの曇りに ふいに吐いた白い息に 君の顔が浮かんでいた としたら僕は辟易してしま…

11番目

いろいろな場所にありふれていて いろいろな場所で僕たちを支えてくれている 夜に見る黄色い光が好きで なぜかとても安心するよ その温かい光は、どこか夏の夕暮れみたいだな 大切にしまってあるのに 空気に触れるとたちまち酸化してしまう まるでそれは、僕…

どこから

君の笑顔 どこからくるのだろう 君の声 どこからくるのだろう 君の温もり どこからくるのだろう 君の涙 どこからくるのだろう 私の元気 どこからくるのだろう 君から 私から そこから いまから

アジサイフライド

遠くへ行ってしまった君へ 宙を舞うアジサイの花 たとえ半濁音になったとしても そこにあるのはなんてことはない自尊心で いつだって その光に手を伸ばしてみるんだ 雨上がりの水面に映った空が綺麗で なんだか他の事を思い出すよ たとえ濁音になったとして…

明日は雨だった

電波の届かない場所にあるもの 君の心 電源の入っていないもの 君の声 今日はいい天気 小雨が降っているけれど 明日もいい天気 明日は雨だった気がするけれど 頭の奥のほうから 声にならない声がする ぼんやりと ノイズ 周波数を合わせようと必死になってみ…

そんなことはわからない

いつもどこか物憂げで 体から滲み出る寂しさをその目に湛えている 君は明日になれば笑ってくれるだろうか そんなことはわからない 背が伸びて見える世界が広がって より遠くまで見渡せるようになった でも逆に近いところは見えにくく なんだかぼんやりとした…

らいじんさん

眠い目をこすりながら深夜のドライブ 土砂降りの雨をワイパーでこすりながら 名前も知らない街を次から次へと通り過ぎていく 鳴り出した雷と心臓の音 光と闇の織り成すそれはまるで映画館のようで 考えることをやめたくてオーディオの音量を上げてみる 視界…

スモール スペース

掃除をして片付けたはずが 今ではあらゆるものが手の届く範囲にあって 自分ではそれに気が付かないまま毎日を過ごしている 居心地の良いこの場所を 手放してしまうのは怖いよ でもそれは 僕の弱さなのかもしれない 誰かに指摘されて初めて知ること 例えばそ…

とけないけれど

目に映る虚ろ うつろうこころ 在るのは今の連続で 変わらないもの、あれこれ。 そんな 君の心はとけないけれど 僕はまた 同じように手でつつみこむんだ 少しでもとけるようにと 新しい轍 わたしのあした それぞれの説明と解釈で 分からないもの、あれこれ。 …

マイ ソウ

手の届く場所にあって手の届く場所にないもの 世界で一番嫌いで世界で一番好きなもの そんなもので溢れている空間で 私は呼吸をしている と思われる 無性に悲しくて無性に楽しい 無駄に眩しくて無駄に暗い そんなもので溢れている空間で 私の心臓は動いてい…

Drinking hot liquid

とても冷たくて とても冷えきっていて どこか憂鬱で どこか満たされない 温度の差で熱いと冷たいが変化するのであれば 本来温かいはずのものも 冷えた自分からすれば熱いと感じてしまうのだろうか 温かいスープを飲んでほっとする自分がいて 以前は感じるこ…

涙まで1メートル

何も変わらない 変わってなどいない そう思っていたのは僕だけで 気付けば世界でただ一人 行き場のない気持ちが宙を舞うだけ 色褪せた紫陽花の それを見たときの感情よ 嗚呼空は斯くの如し 帰り道一人歩くそのときに 不意に胸を刺す痛みまで1メートル 理由…

ニジ

感情 行動 理由 皆無 抗争 永遠 抵抗 無力 幻想 変遷 自身 光陰 柔軟 堅牢 相反 精神 寒暖 変化 豊潤 自然 苦痛 罵声 喪失 静寂

不安T

五限の講義と同じ位憂鬱な時間 調律のずれたギターから錆びた匂い 君にだけ伝わればいいのに 指先から血液を飛ばすヒーロー 地平線を見たくなって出掛けた六時 割れたスティックの山とツインペダルの重さ 音の鳴らない胸が痛んで 前のめりに倒れ掛かるヒーロ…

シノニム

生と死 出会いと別れ 優しさと苦しさ 対照的なようでとても近いもの 境界が曖昧なもの きっと世界はそんなものであふれていて だから人はそれに色を付けたがるんだ 本当は白でも黒でもないのにな でも 忘れているんだ 他の誰かと同じように こうして悩んでい…