色彩の無い世界にひとつ色

詩や雑記で更新し、ひとり行進しながら後進しています。ムーンウォークばりに。

詩(Colors)

ハロ

遥か彼方の距離に見える 淡い光彩は今どこへ そんなに遠くないよって そんなに滲んでないよって 遥か彼方の距離から聞こえる 雷鳴よりも遠い声 空はこんなにも当たり前に青くて 雲はあんなにも当たり前に高くて 触れることのできないものは信じないんだって …

カラス

ふと空を見上げたら 夏の高い空に浮かんでいた ふと下を向いてみたら 雨上がりの水たまりに映っていた 透明なはずのものに色が付いていく まるでそれはカキ氷みたいなものなんだ 君の髪は今どんな色をしているんだろうか 黒が好きだと言った自分のために 一…

水墨

山並 雲海 清流 霧雨 美しくなんてなくて 醜くなんてなくて そこにただそれはあるだけで 何を今更という顔をしている 国破れて山河あり 何も変わらないように見えて 本当はきっと変わっているのだけれど それはなんだか人の心みたいで 少しだけ 本当に少しだ…

ゆめいろ

二人で歩いた雨の夜を思い出した それはとても とてもつめたい雨で 白い息がきれいだった 二人で歩いた砂浜を思い出した それはとても とてもあつい砂で 青い海がきれいだった 形のあるものよりも ないもののほうが本当はずっと欲しいのに いつになればそれ…

シイユウ

春の暖かさに誘われて僕達は出逢った 紡ぎ出す日々はまるで綿のように柔らかで それはどこか温かくて、脆くて 白い僕達はどんな色にも染まってしまう危うさを備えていた 夏の日の海の色に似てるよね、緑青ってさ 緑青、銅の錆だったか 本当はそんなことはど…

カタシロ

知らないほうがいい事 知りたくもなかった事 きっと世の中はそんなもので溢れていて だから汚れてしまうんだ ただでさえ汚れているのに 僕たちを構成する物質は黒の折り紙に似ている 主張しているのは黒なのに 本当は白でしかなくて それでさえ反対の色に押…

鼠色

昼と夜の間で きっと空は世界で一番暗い鉛色 僕等はいつだって白か黒かの選択を強要されていて 結局決まるのは多勢の意見になってしまって それはまるでオセロのよう けれどそこには本当の「白」や「黒」は存在しない あるのは限りなくそれに近いグレイゾー…

さくらなみだ

花を見て、涙が溢れる それはきっと、こんな季節のせいで 寂しいからなんかじゃない 悲しいからなんて有り得ない その花は、毎年咲く訳ではなくて 一度咲くと、次の年は咲き難い それだけのエネルギーを消耗したんだろう 舞い落ちる花弁 掴もうとしても、手…

雫色

少し寂しくて 悲しい涙の色 胸の痛みと塩辛さ 自分勝手なのに涙が止まらない 偶然じゃない、必然 現実は美しくなんかなくて 痩せてしまった自分と 鏡の中の自分 旅立ちの日は 笑顔でいたいけど しばらくは笑顔作れそうにないよ 忘れない ヌクモリ

彼岸花

彼の岸に咲く花 毎年、同じ時期に咲く花 毒を持つ紅い花 死を招く不吉な花 それは正に、彼の三途の川の対岸に咲く、地獄花か それとも彼の人に想いを馳せる、可憐な花か 妖しげな赤を放つその花は きっと夜の闇に光る鮮やかな狐火 でも どこか哀しげな、寂し…

虹色ラプソディ

手を伸ばしても、手の届かないもの すぐそこにあるようで、実はすごく遠いもの 否 手を伸ばしても、いくらそこに近づいても そこに「もの」なんて無くて あるのはただただ、青い空 僕が探していたもの 私が探していたもの いつもすぐそばにあったのに いつも…

ULTRA SILVER

銀色と灰色の違いとは何か 質感? 否 光を反射するか吸収するかの違いだと思う 自動車の場合それは特にわかりにくい 灰色に塗っても人によっては銀色に見えるだろう 恐らく、自動車のボディは金属製であり 塗装しても光の反射を抑えることが難しいからだと思…

紫陽花

梅雨の時期なのに 降らない雨 私は雨が好きだ 泣いていても 誰にも気付かれずに済むから そろそろ肌も乾いてきた 蛙だって雨を欲しているよ ねえ どうしてこんなに晴れているの? 雲だって一つも在りはしない こんな日は嫌いだ 生まれ落ちたその場所によって…

白詰草

いつか 君が泣いたあの日の夜 僕も泣いた皐月の夜 月は出ていましたか? 星は笑っていましたか? あるとき 道端に見つけた白い花 四葉ではない緑の葉 空は晴れていましたか? 雲は悲しんでいましたか? 幼い頃 母が押し花にしてくれた幸せの葉 それだけで嬉…

あの空の色

いつかみた 何色ともいえぬ 空の色 それはきっと曇り空 水色というには淡く 灰色というには白く 白色というには色のある どこか不思議で懐かしく どこか寂しさを感じる そんな空の色だった そういえば水色って、 どうして水色っていうんだろ 水に色なんてな…

街を照らす夕日が暗闇を欲している 澄み切った朝日は暗闇を祓ってくれと懇願している いつの季節にも変化のない 有機質な眼球に映る物体 失った感情 手に入れた感情 過去の自己表現と未来の存在理由 もう二度と来ない現在 カレンダーのずっと先 愛すべきもの…

トゲのないサボテンが水を欲している 放置された毬藻は水を換えてくれと懇願している 芽吹きの時期にあって変化のない 無機質な部屋に転がる物体 失った感情 手に入れた感情 過去の反省材料と未来の行動目標 もう二度と来ない今日 明日のずっと先 守るべきも…

ぎん

鉛色の部屋 隅でうずくまる少女 如月 寒さに耐えながら お気に入りの自転車で 山を見に行く 雪と山 いい景色 誰もいない山中で 少女は ただひたすら山を眺めた ふってはやんで やんではふって さらさら さらさら さらさらら 帰り道 涙で前が滲んでも 振り返…

あお

藍色の部屋 隅でうずくまる少年 葉月 暑さに耐えながら お気に入りの自転車で 海を見に行く 砂と海 いい景色 誰もいない砂浜で 少年は ただひたすら海を眺めた よせてはかえし かえしてはよせて さらさら さらさら さらさらら 帰り道 涙で前が滲んでも 振り…